夜光虫の港

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     或る港の近くに一家が住んでいた。

  父親と母親、そしてまだ幼い坊や・・・・。

 ある日父親が勤めていた工場で事故死。

 残された母と子供。 しばらくして母親は再婚することにした。

 しかし、再婚相手は 『子供は要らない』と言う。

 ある日、母子は夜の港を散歩していた。 夜霧の中。 

 坊やが海に向かって石を投げた。 石が落ちた所がかすかに光った。

 『夜光虫ね 綺麗ね』 母親が言う 

   『すご〜い』 と 坊やは港から海を見る。  その時・・・。

 

   「バシャーン!!!」

  一瞬海が輝き、そして・・・・何ごとも無いように暗い海に戻った。

 「そんな事をするつもりはなかった・・・」

  母親はその場から離れた・・・

 

  どのぐらい時間がかかっただろうか 「ママ・・・・。」

 坊やの声が海から聞こえる。

 

 それから その港の近くでは夜になると 窓明かりにひきつけられた坊やが窓の外から中を覗いていると言う。

 

  母親を探して・・・・。